EAGLE  航空用ガソリンからの鉛排出をなくす取り組み 無鉛燃料 SAIB 2025-04

2025/03/29

米国 FAA SAIB 2025-04
無鉛燃料に関する特別耐空性情報通報(SAIB) 2025-04】
https://drs.faa.gov/browse/excelExternalWindow/DRSDOCID139871502220250328153822.0001

発行日:2025年3月28日
※これは情報提供のみ。推奨事項は義務ではない。

■ 概要

このSAIBは、航空機運航者、整備業者、FAA修理工場、FSDO、外国民間航空当局に対し、無鉛燃料を使用した際の問題(整備上のトラブルなど)をFAAへ報告するよう勧めている
FAAは、現時点で耐空性指令(AD)を出す必要がある危険な状態は確認されていない

■ 背景

FAAは2022年に、EAGLE(航空用ガソリンからの鉛排出をなくす取り組み)を発表。アメリカのレシプロ機が安全かつ効率的に無鉛燃料へ移行することを目指している。

現在、いくつかの無鉛燃料が使用可能で、今後さらに増える見込み。使用の可否は、TCDS(型式証明データシート)やSTC(補足型式証明)などで確認できる。

FAAは、100LL(鉛入り燃料)使用時の問題と、無鉛燃料による新たな問題を区別する必要がある。

■ 報告のお願い

以下の情報をFAAへ報告してほしい(問題がない場合でも歓迎):

  • 航空機の機種/製造年

  • 無鉛燃料のメーカー・種類

  • エンジンの型式と、新造またはオーバーホール後の時間

  • 無鉛燃料の使用量(ガロン/リットル)

  • 無鉛燃料へ切り替えてから問題が出るまでの時間

  • エンジンの総運転時間と、無鉛燃料での使用時間

  • 100LLとの混合の有無

必要に応じて、次の詳細も提供してほしい:

  • 問題の内容と発生日

  • 無鉛燃料使用前の整備履歴(ホース、ガスケット、シーラントなど)

  • 燃料漏れやシール材の劣化

  • 燃料タンクやエンジン内部の写真

  • 性能低下、部品の劣化や破損状況

  • 異物混入や燃料系の異常など

FAAが追加の質問をする場合に備えて、連絡先と希望の連絡方法も記載してほしい(報告データに連絡先は残さない)。


EAGLE
( Eliminate Aviation Gasoline Lead Emissions )に関する資料
2030年までに無鉛燃料へ移行
https://www.faa.gov/unleaded
https://www.faa.gov/sites/faa.gov/files/FAQs_FAA_UL_Fuel_Development.pdf

各メーカーの取り組み(例)Cirrus Aircraft
http://servicecenters.cirrusdesign.com/tech_pubs/SR2X/pdf/SA/AllAdvisories/2024ServiceAdvisories/SA24-14/SA24-14.pdf

Lycoming
https://www.lycoming.com/fuels
https://www.lycoming.com/service-instruction-no-1070-AB

【Lycoming社の無鉛燃料への取り組み】

Lycoming Enginesは、95年以上にわたりピストン航空機エンジンを製造しており、安全を最優先に無鉛燃料の導入に積極的に取り組んでいる。業界共同の取り組みである
PAFI(ピストン航空燃料イニシアチブ)およびEAGLE(航空用ガソリンからの鉛排出をなくす)に参加し、複数の無鉛燃料を自社エンジン用に承認済み。

■ PAFIとEAGLEの違い

  • PAFI(2014年開始):候補となる無鉛燃料の評価・試験を行い、FAAが全機種に適用できる燃料として承認する仕組み。

  • EAGLE(2022年開始):PAFIを含むより広範な産官学連携プロジェクトで、2030年までの鉛除去を目指している。

■ LycomingがSTCよりPAFIを支持する理由

  • STC(補足型式証明)による承認では、燃料メーカーがFAAと直接やり取りし、LycomingのようなTC(型式証明)保有者は技術情報にアクセスできず、安全性の確認ができない

  • PAFIでは、材料適合性、有害性、エンジン試験、運用上の問題などを含む包括的な評価が行われるため、安全性が高いと判断している。

■ GAMIのG100UL燃料について

  • GAMIはPAFIには参加せず、STCでG100ULを承認取得。

  • LycomingはG100ULの技術情報を持たず、安全性に関する判断ができない

  • GAMIはLycomingに対し、評価結果の公表を制限する条件で情報提供を求めており、Lycomingはこれを拒否。

  • LycomingはG100ULをSI1070に掲載しておらず、使用は非推奨。使用すると保証対象外となる可能性がある

■ 承認済み燃料

  • Lycomingが承認した燃料は、Service Instruction 1070に記載されている。

  • 新しい燃料が承認されるには、厳格な試験とFAAへの認証データ提出が必要。

■ まとめ

Lycomingは透明性・協業・安全性を重視し、PAFIを通じた無鉛燃料の採用を推進している。今後もエンジンの安全性を確保しながら、無鉛化に取り組んでいく姿勢を示している。


 

FAA Emergency AD 2025-06-51 (Bell 505)

2025/03/27

FAA Emergency AD 2025-06-51

2025-06-51_Emergency.pdf
https://content.govdelivery.com/attachments/USFAARGL/2025/03/21/file_attachments/3205166/2025-06-51_Emergency.pdf

発行日:
2025年3月21日
対象: Bell Textron Canada Limited社製 Model 505ヘリコプター(シリアル番号65011以降)、バラストキット部品番号 SLS-706-201-007 を装着している機体
緊急AD番号: 2025-06-51

背景:

カナダの航空当局であるTransport Canadaが、該当機種に関してバラストボックスの蝶番部における変形またはピンの不適切なかみ合わせを確認。これにより、バラストウエイトが脱落しテールローターに衝突する可能性があると報告。これが発生した場合、テールローターの損傷や推力喪失、深刻な振動を引き起こし、最悪の場合ヘリコプターの制御不能につながる。

要件:

  • 飛行前に、当該バラストボックス(部品番号 SLS-706-201-007)から全てのバラストウエイトを除去することが義務付けられる。

  • 今後このバラストボックスへのウエイトの使用は禁止。

  • 該当のカナダ緊急AD(CF-2025-17)に従って対応を実施すること。

  • 特別飛行許可は認められない。

FAAの対応:

  • 上記の不安全状態が他の機体でも発生する可能性が高いため、即時発効の緊急ADとして発行。

  • Bell社が検査手順を開発中であり、本ADは暫定措置。

  • 将来的にさらなる規制措置(AD)を検討する可能性あり。


 


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