HondaJet  HA-420 オーバーラン 米国

2025/04/14
AOPA 記事抜粋

https://aopa.org/news-and-media/all-news/2025/april/10/hondajet-owners-seek-to-stem-runway-excursions-with-training

2025年4月7日、オレゴン州の空港でHondaJet HA-420が滑走路をオーバーランし、海に部分的に沈んだ状態で停止した。パイロットと4人の乗客は救助され、後に全員が病院から退院した。4月9日にはフロリダ州でも別のHondaJetが滑走路を外れ、芝生に突っ込む事故が発生した。負傷者はいない。

HondaJet HA-420に関しては、2015年の型式認証以来、35件の事故・インシデントが記録されており、そのうち29件が離着陸時の滑走路逸脱に関連している。

要因としては、濡れた滑走路や追い風に加え、スラストリバーサーの非搭載、小径タイヤ、高い着陸速度といった機体設計上の特徴が、地上滑走時の操縦性に影響を与えている可能性がある。

HondaJetオーナーおよびパイロット協会(HJOPA)は、こうした傾向を改善するため、2025年5月に「HJOPA Proficient Pilot Program」という訓練プログラムを開始予定である。このプログラムでは、HondaJet特有の操縦技術を強調している。

たとえば以下のような点が挙げられている:

  • 着陸速度の加算は危険:突風に備えて速度を増すのは逆効果

  • 柔らかい接地を避ける:1.5G程度のしっかりとした接地で、タイヤの摩擦を最大化し方向安定性を確保

  • ノーズホイールの早期接地(デ・ローテーション):素早く前輪を地面につけることで制御性が向上

  • 横滑り(サイドスリップ)は推奨されない:クラブアンドキック法で対応し、最後の瞬間に進行方向を調整する

また、FAA(米国連邦航空局)は、4月11日に特定のHA-420を対象とした新しい耐空性改善命令(AD)を発行予定である。これは、フラップ制御プッシュロッドの腐食防止処置に関するもので、今回の事故とは無関係である。

HJOPAは、「HondaJetの着陸は“何もしないことの技術”」と表現し、正しい訓練と手順に従えば、HondaJetは安定して着陸できる機体であると強調している。

参考資料
https://aviationweek.com/business-aviation/aircraft-propulsion/hondajet-runway-excursions-raise-questions

1. 地上での方向制御性の難しさ(Controllability)

  • 着陸後の滑走時に 左右への揺れ(パイロット誘発振動)が起きやすく、車輪の接地圧(WOWモード)の変化によりブレーキが作動しないケースも。

  • NASAや日本運輸安全委員会の報告でも、方向制御を失った逸脱例が複数報告されている。

2. 制動性能(Stop Ability)の不安

  • HondaJetにはスラストリバーサーが無く、ブレーキのみに依存して停止する設計。

  • タイヤが小さく接地面積が限られていることも影響。

  • 初期モデルはスピードブレーキも無く、現在はElite IIで改善。

3. クロスウィンドへの脆弱性

  • 車輪が短く翼が地面に近いため、片翼が接地しやすい。

  • 最大クロスウィンド制限は20ktで、それを超えると設計上リスクが増す。

  • 一部事故ではクロスウィンドが制限を明らかに超えていた。




 


BLOG MENU
検索窓
最新の記事
会社情報
在庫
空の安全
Topics
空からの景色 PHOTO
以前の記事