FAA AD 2025-25-02 Safran 携帯呼吸装置 PBE

2025/12/10


FAA AD 2025-25-02

Safran Aerosystems(旧 Air Liquide)製 携帯用呼吸装置(PBE)に関する耐空性改善命令**

1. 発行理由

特定の携帯用呼吸装置(PBE:Portable Breathing Equipment)において、誤った着用(donning)手順による誤使用の事例が報告された。
誤使用のままPBEを装着すると、酸素供給が作動しない可能性があり、乗務員の機能喪失や緊急時対応不能、最悪の場合死亡につながる危険性がある。

原因として、従来の取扱説明書・ピクトグラムが誤解を招く表現だったとされる。


2. 対象装備

Safran Aerosystems(旧 Air Liquide)製

  • P/N 15-40F-11

  • P/N 15-40F-80

すべてのシリアル番号
※製造時インストール/STC/その他改修で搭載された全航空機が対象。


3. 要求される措置

発効日から30日以内に、PBEの着用手順(donning procedure)を改訂版へ更新すること。

Safran Aerosystems Service Bulletin 1540F-35-001(2025年10月10日付) に定められた新しい手順を、以下のいずれかに組み込む:

  • 輸送カテゴリ航空機:既存の整備・点検プログラムへ反映

  • それ以外の航空機

    • 91.417(a)(2) または 135.439(a)(2) に従う記録への追記、または

    • 承認済み整備/点検プログラムへ反映
      ※ 非輸送カテゴリ機では、プライベートパイロット資格以上の機長自身が記録に追記して完了としてよい(作業が簡易のため)。

また、旧来の誤解を招くピクトグラムを交換し、SBに記載の手順へ必ず置き換える。


4. 新手順の主なポイント(SB概要)

  • 黒いネックシール部分のみを掴んで取り出す(他の部分を掴むと破損や誤作動の恐れ)

  • 手をパッケージ内部に入れない

  • フード展開手順を明確化

  • 装着直後に 酸素流入音が聞こえることを必ず確認
    → 作動しない場合は即座に使用中止・交換


5. 発効日とコメント受付

  • 発効日:2025年12月24日

  • コメント受付期限:2026年1月23日


6. 緊急発行(Immediate Adoption)の理由

  • 誤着用による乗務員機能喪失のリスクが高く、緊急時の安全性に直結

  • コメント期間を待つことは「公共の利益に反する」と判断

  • よって 事前の意見募集を行わず、即時性の高い最終規則として発行


7. 影響規模とコスト

  • 対象装置:約 80,000台(米国内搭載数は不明)

  • 作業時間:約 1時間 × $85

  • 米国内最大総コスト:約680万ドル


8. AMOC(代替方法)の扱い

  • FAA International Validation Branch に申請することで承認され得る。

  • ただし、改訂手順そのものの代替は原則不可(AMOC 必須)。


9. 参考資料

  • Safran Aerosystems Service Bulletin 1540F-35-001(2025/10/10)

  • EASA AD 2025-0222
    ※SBの参照が AD によって義務化される


https://ad.easa.europa.eu/blob/FC3L3_1540F-35-001_Rev00.pdf/AD_2025-0222_2

 

FAA AD 2025-23-52(EC130B4/EC130T2 センターシャフト)

2025/11/23

FAA AD 2025-23-52(EC130B4/EC130T2 センターシャフト)
https://www.federalregister.gov/documents/2025/11/21/2025-20575/airworthiness-directives-airbus-helicopters

●対象機種

  • Airbus Helicopters EC130B4 / EC130T2

  • Category: all categories(用途を問わず)


●発行の背景・原因

EASAの緊急 AD(2025-0249-E)により、
センターシャフトアセンブリ(P/N 350A34021401)に疲労亀裂が発生する可能性が判明。

  • 亀裂はシャフトのリベット部から発生し、進行すると破断

  • テールロータードライブシャフトの構造破損 → 機体制御不能のリスク

※ FAAはこれを重大安全上の懸念と判断し、11/10付で Emergency ADとして即時発行。


●要求される主な措置

要求事項 内容
交換(強制)      サービス可能なセンターシャフトへ交換(別P/N または同一P/Nでも使用時間が低いもの)
装着禁止 耐用時間超過または条件不適合のシャフトは再使用不可
遵守基準 EASA AD 2025-0249-E を準拠(FAA AD内に例外あり)

FAA版では

  • 部品返却や情報提出の義務なし(EASA要求部分は不採用)

  • 特別飛行許可(フェリーフライト)不可


●緊急性と発効理由(行政手続き省略の正当性)

  • 米国内登録 約304機が対象

  • 約100機はすでに疲労閾値を超過→10時間TIS以内に交換必要

  • 半数は月30時間以上飛行 = 最大10日以内に破損リスク到達

このため 事前パブコメなしで即発効(good cause 適用)


●有効日・法的位置づけ

区分 日付
Emergency AD(既発行原文)      2025年11月10日 発効(受領者に対し即時)
本最終AD(官報掲載版) 2025年12月8日 発効
コメント期限(意見受付) 2026年1月5日

本ADは 暫定措置(interim action)
→ 最終措置が必要になれば追加ルール制定の可能性あり。


●技術的内容(詳細)

  • 問題部品:Center Shaft Assembly

    • Airbus MFG P/N: 350A34-0214-01

    • EASA表記 P/N: 350A34021401

  • 問題箇所:リベット周辺の疲労起点

  • 不具合の影響:
    テールローター駆動力喪失 → 方向制御不能 → 事故


●遵守方法(Compliance)

  • EASA Emergency AD 2025-0249-E を IBR(引用採用)

  • FAA独自例外:

    1. 「EASA上の発効日」→ FAA AD発効日を使用

    2. 「Flight Hours」→ Hours TIS(米国仕様定義)

    3. EASAの "Remarks" は採用しない

    4. メーカーへの返却・報告は不要


●費用想定(FAA算定)

内容 費用
作業 12工数 × $85/hr = $1,020
部品 $26,890
合計(機体あたり) $27,910 USD
米国全体 約 $8.48M(848万ドル)

●運用への影響(実務ポイント)

  • 整備計画の迅速な見直し必須

  • 交換までの運用時間が極めて短い場合あり

  • フェリー飛行不可 → 整備地点が離れている場合は対応要検討

  • 中古品を流用する場合も 使用時間照合が必須


●今後の見通し

  • 本ADは暫定措置

  • Airbus / EASA から設計変更部品(改良版P/N)が出る可能性あり

  • FAAは AMOC 申請を許可(技術的証明に基づく)


 

FAA AD 2025-21-04 AW169 EFS , Life Raft

2025/11/21

FAA AD 2025-21-04(Leonardo AW169)
https://www.federalregister.gov/documents/2025/11/20/2025-20451/airworthiness-directives-leonardo-spa-helicopters

FAA は AD 2024-09-02 を改訂し、新規 AD 2025-21-04 を発行。対象は全 Leonardo AW169。

改訂の背景

DART Aerospace 製 前方・後方フロートに製造不良が判明。
緊急水上着陸時に浮揚が維持できない可能性、脱出遅延による乗員リスクを懸念。
既存 AD では一部フロートのみ交換対象だったが、調査結果により追加部位も交換対象に拡大。


主な要求事項

区分 内容
対象部品 DART製 前方・後方フロート(追加範囲含む)
必要措置 非適合フロートの取り外し・交換
実施期限 発効後24か月以内 または 次回整備タスク(95-24 / 95-25)時
代替措置 EFS無効化措置の選択可能(短期的対応)
禁止事項 対象フロートの再装着禁止

適用開始日

2025年12月26日発効


FAA版の特徴(EASA版との差異)

  • 時間基準は「飛行時間」ではなく TIS(Time-in-Service)

  • 取り外したフロートのメーカー返送要求を削除

  • 報告提出要求なし

  • 適用基準日を FAA 発効日に置換(一部条件を除く)


コスト見積(米国)

内容 概算
最大交換(前2・後2) 約$114,170 / 機
EFS無効化 約$85 / 機
対象機数 23機

メーカー保証により費用軽減の可能性あり。


目的(安全上の理由)

非適合フロート使用による水上不時着時の浮揚不全を防止し、機外脱出性を確保すること。

合による水上不時着時の浮揚失敗 → 脱出遅延 → 乗員負傷リスクを防止。


 

FAA AD 2025-24-03 EC225LP MGB フリーホイールシャフト

2025/11/21

FAA AD 2025-24-03
https://www.federalregister.gov/documents/2025/11/20/2025-20482/airworthiness-directives-airbus-helicopters

FAAは Airbus Helicopters EC225LP に関し、既存の AD 2019-19-13 を改訂・置換する新たな耐空性改善命令(AD)を発行した。
このADは メイン・ローター・ギアボックス(MGB)右側のフリーホイールシャフトの摩耗により、片発停止時に出力が伝達できなくなる危険性 を是正するためのもの。

発効日:2025年12月26日


主な変更点・義務事項

項目 内容
適用範囲拡大 新たに P/N 332A32-5004-XX を対象に追加
点検義務変更 右側フリーホイールシャフトの使用時間確認を必須(左側は不要に)
交換義務 1,000時間使用毎 に MGBまたは右側フリーホイールシャフトを繰り返し交換
手順実施者要件変更 指定専門員の監督義務削除。14 CFR 43.3 の資格保持者が実施
RFM改訂・計器板への赤字警告プレカード掲示 パイロットが自ら挿入可(整備行為とみなさない)
設置可能部品の制限拡大 条件を満たさないMGBの搭載禁止

unsafe condition(発行理由)

右側フリーホイールシャフトのランプ面摩耗により、左エンジン停止時:

  • 右エンジンからローターへOEI出力を伝達できない可能性

  • 結果 → 操舵不能・安全性低下のリスク


対応内容(概要)

  1. 10時間以内

    • 右フリーホイールシャフト累積時間の確認

    • 必要に応じて交換(以後1000時間毎)

  2. 10時間以内

    • 計器板へ警告プレカード掲示

    • RFM(飛行マニュアル)に制限追記(パイロット可)

  3. 任意措置

    • MOD除去済み12ローラー型MGBへ置換で要求事項終了可


コスト試算(FAA推定)

作業内容 推定費用(1機あたり)
時間確認 $21
プレカード+RFM改訂 $43
MGB交換 約 $853,400 / cycle
右フリーホイールシャフト交換(代替案) 約 $24,361 / cycle

※対象機:米国登録 28機


EASAとの相違点

FAA AD EASA AD
RFM改訂要求あり なし
報告義務なし 報告要求あり

背景(経緯)

  • 過去のAD(2019-19-13)では特定MGBのみ対象

  • EU側調査により 追加型式にも同一リスク確認

  • よって適用拡大・記録方法変更・交換周期明確化


 

FAA AD 2025-23-08 Cessna 182Q 182R ディーゼルエンジン インタークーラーホース目視点検

2025/11/19
FAA AD 2025-23-08
https://www.federalregister.gov/documents/2025/11/17/2025-19900/airworthiness-directives-textron-aviation-inc-type-certificate-previously-held-by-cessna-aircraft

対象:

  • Textron Aviation(旧 Cessna)182Q / 182R

  • 補機ターボ付き SMA ディーゼルエンジン改造機(STC SA03302AT にてインタークーラー付きエンジンを装備)

  • 特定のインタークーラー入口・出口ホース P/N 装備機

理由:

  • インタークーラー入口・出口ホースに亀裂が発生した事例が報告された。

  • 亀裂によりマニホールドプレッシャー低下 → エンジン出力喪失 → 不時着・機体損傷・人身事故につながるおそれがあるため。


主な要求内容

  1. 適用部品(affected parts)
    以下の P/N のインタークーラー入口/出口ホースが対象:

    • SP01170459-0

    • SP01170385-1

    • SP01170460-0

    • SP01170386-1

    • 1500004183-1

    • 1500004182-1

  2. サービス可能品(serviceable part)の定義

    • 上記以外の P/N のホース、または

    • 上記 P/N であっても

      • 新品、または初回取付から 500 飛行時間未満

      • 取付前7日以内に SMA SB SB-C182-71-011 Rev.01 に従って点検し、亀裂なし

  3. 点検要求

    • 本 AD 発効後、次の飛行前までに、その後は50 飛行時間ごとに、

    • インタークーラー入口および出口ホースを目視点検(亀裂の有無確認)

    • 手順:SMA SB-C182-71-011 Rev.01 の 3.A.(a),(b) に従うこと。

  4. 亀裂発見時の処置

    • 点検で亀裂を発見した場合:
      ⇒ 当該ホースをサービス可能品に交換すること(飛行前に要是正)。

  5. 時間寿命による交換要求

    • 対象ホースは、

      • 本 AD 発効日以降の初回取付から 500 飛行時間以内、または

      • 次の飛行前のいずれか遅い方までに

    • 必ずサービス可能品へ交換すること。

  6. 取付禁止

    • 本 AD 発効日以降、

    • 上記の条件を満たさないホース(サービス可能品以外)は新たに取付してはならない


その他

  • 法的根拠:

    • 米国法 49 U.S.C. 44701 に基づく航空安全確保のための規則。

  • 適用開始日:

    • 2025年12月2日 発効

  • 性格:

    • EASA の緊急 AD を受けた 暫定的(interim)措置。将来、追加・改訂 AD が出る可能性あり。

  • 概算コスト(FAA 試算):

    • 点検:1 機あたり 85 USD

    • ホース交換:1 機あたり 約 441 USD(工数+部品)


一言まとめ

Cessna 182Q/182R の SMA ディーゼル改造機で、特定 P/N のインタークーラー入口・出口ホースに亀裂が出てエンジン出力喪失に至る危険があるため、即時点検・50 時間ごとの定期点検および 500 時間以内のホース交換と、条件を満たさないホースの新規取付禁止を義務付ける AD 


 

FAA AD 2025-22-03 Bell 505 バラストウエイト

2025/11/19

FAA AD 2025-22-03 概要
https://www.federalregister.gov/documents/2025/11/05/2025-19785/airworthiness-directives-bell-textron-canada-limited-helicopters

対象機種: Bell Textron Canada Limited Bell 505
発効日: 2025年11月20日
置き換え: 既存の AD 2025-06-51 を「改正・置き換え」

1. 背景・不安全状態

  • 対象:バラストキット P/N SLS-706-201-001 を装備した Bell 505。

  • 後部可動バラストボックス(aft movable ballast box)のドアヒンジ部ナックル変形およびピンの不適切な係合が確認された。

  • その結果、バラストウェイトがボックス外に脱落し、テールローターに衝突するおそれがある。

  • これにより、

    • テールローターブレードの損傷・脱落

    • テールローター推力の喪失

    • 激しい振動
      → 最悪の場合、ヘリコプターの操縦不能・制御喪失に至る可能性がある。

以前の AD 2025-06-51 では、暫定措置として

  • 後部可動バラストボックス内の全バラストウェイトの取り外し

  • 同ボックス内でのバラスト使用禁止
    が要求されていた。


2. 今回の AD(2025-22-03)の目的

  • メーカー(Bell)が開発した バラストボックスドアアセンブリの改修(モディフィケーション) を反映し、
    恒久対策としてこの改修を実施させること。

  • この改修を実施することで、**旧 AD 2025-06-51 の要求は打ち切り(ターミネーティング・アクション)**となる。


3. 要求される主な対応内容

この AD は、Transport Canada AD CF-2025-35(2025年7月4日付) を引用し、その内容に従うことを要求しています(米国向けの一部例外を除く)。

(1) バラストウェイトの取り外し・使用禁止

  • 可動バラストキット P/N SLS-706-201-001 のバラストウェイトを
    後部可動バラストボックス(P/N SLS-706-201-007)から全て取り外す。

  • 改修が完了するまで、同ボックス内でのバラストウェイト使用は禁止。
    (これは旧 AD 2025-06-51 と同様の要求)

(2) バラストボックスドアの改修(恒久対策)

  • 後部可動バラストボックスドアのヒンジ部を改修:

    • より長い 2インチのヒンジアセンブリへの変更

    • ドアアセンブリのゴムパッド厚さの調整

  • この改修の実施により、
    → バラストボックスからウェイトが飛び出す危険を抑止し、
    → バラストウェイトの使用禁止措置を**解除するための恒久対策(ターミネーティングアクション)**となる。

(3) Rotorcraft Flight Manual(RFM)の改訂

  • 可動バラストキット(SLS-706-201)装備時の手順を記載したフライトマニュアルサプリメントを
    既存の RFM に組み込み。

  • Private Pilot 以上の資格を持つオーナー/パイロット自らが

    • RFM へのサプリメント挿入

    • AD 該当パラグラフに対するコンプライアンス記録(整備記録への記載)
      を行うことが認められている(整備士でなくても可とする例外規定)。


4. Transport Canada AD との関係・例外

■ 引用・準拠

  • この FAA AD は Transport Canada AD CF-2025-35 を丸ごと取り込み(incorporated by reference)、
    基本的には同 AD の要求事項・コンプライアンス時間に従うことを求める。

■ FAA 側の例外(Exceptions)

  • Transport Canada AD が言及する「発効日」は、本 FAA AD の発効日(2025年11月20日) に読み替え。

  • Transport Canada AD の「air time」は、FAA AD では hours time-in-service(運航時間) に読み替え。


5. 特別飛行許可(フェリーフライト)について

  • 本 AD では、Special Flight Permits(特別飛行許可)は認めない と明記。
    → 不適合状態のまま他基地への回送飛行などを行うことは禁止。


6. コンプライアンスと AMOC

  • オペレーターは、Transport Canada AD CF-2025-35 に従い、指定された期限までに

    • バラストウェイトの取り外し

    • ボックスドアの改修

    • RFM 改訂
      を完了する必要がある。

  • 代替方法(AMOC:Alternative Methods of Compliance)の承認権限は
    FAA International Validation Branch マネージャーが保持。


7. コスト見積り(FAA 推定)

  • 対象機数:米国登録 174機

  • 想定作業コスト(1機あたり)

    • バラストウェイト取り外し:
      約 0.5 工数 × 85 USD = 43 USD

    • バラストボックス改修:
      約 2.5 工数 × 85 USD = 213 USD
      + 部品費 300 USD → 513 USD

    • RFM 改訂:
      1 工数 × 85 USD = 85 USD

※一部はメーカー保証によりオペレーター負担が軽減される可能性あり。


8. ルール制定手続き上のポイント

  • 「Final rule; request for comments」 形式:
    安全上の緊急性から、事前パブリックコメントなしに即時施行としつつ、
    施行後に 2025年12月22日までコメントを受け付ける。

  • AD を30日未満で発効させる「good cause」があると FAA が判断した理由:

    • バラスト脱落 → テールローターへの直撃 → 推力喪失・大きな振動 →
      直ちに操縦不能に直結するリスクがあるため。


9. まとめ(現場向けの実務ポイント)

  • 対象:Bell 505(Movable Ballast Kit SLS-706-201 装備機)

  • やるべきこと(概要)

    1. 現行の要求どおり「後部可動バラストボックス内のウェイトを全て取り外す」こと。

    2. Transport Canada AD CF-2025-35 どおりに

      • 後部可動バラストボックスドアヒンジ改修(長いヒンジ+ゴムパッド厚変更)を実施。

    3. Movable Ballast Kit 使用時の手順を記載したRFM サプリメントを RFM に挿入。

    4. オーナー/パイロットが整備記録にコンプライアンスを記録。

    5. 修完了までは、特別飛行許可による回送などは不可


 

FAA AD 2025-20-06 BK117 D-2 D-3 対気速度・高度計表示誤差

2025/11/19

FAA 最終規則 AD 2025-20-06】
https://www.federalregister.gov/documents/2025/11/18/2025-20135/airworthiness-directives-airbus-helicopters-deutschland-gmbh-helicopters

対象機種: Airbus Helicopters Deutschland GmbH
MBB-BK117 D-2 / D-3
発効日: 2025年12月23日

■ AD 発行の背景

・一部機体で 対気速度・高度計表示に誤差 が発生したとの報告があった。
・調査の結果、エアコン(ACS)凝縮器アウトレット(排気口) が静圧孔に近く、排気の影響で静圧が乱され、
 その結果、速度計・高度計・昇降計に誤った値が表示され得ることが判明。
・この誤差は操縦者の状況判断を低下させ、乗務員の負荷増大につながる可能性があるため、FAA は AD を発行。


■ ADが要求する内容(主なポイント)

1. RFM 補足書(RFMS) の改訂

・既存の Rotorcraft Flight Manual Supplement を改訂し、
 高度補正手順(EASA AD Appendix 1 の内容)を「制限事項(Limitations)」に追加すること。
・加えて、ヘリコプターを改修完了するまで「VFR(有視界飛行)限定」 とする運用制限を追加。


2. ACS 排気グリッドの交換

・現在装備されている ACS コンデンサー・アウトレット「グリッド」
 (P/N D211M1821302、D211M1822302)を
 アウトレット「カバー」
 (P/N D211M1821402、D211M1822402)に交換すること。

・グリッドの今後の取り付けは禁止。


■ EASA AD(2023-0175)との違い(FAA固有の要求)

・EASA AD は D-2m / D-3m も対象だが、FAA AD では 米国型式証明を持たないため対象外。
・EASA が求める「乗員への通知」「修正手順に従って飛行」は FAA規則ですでに義務付けられているため、ADでは要求しない。
・FAA は VFR のみの飛行制限 を追加(EASAには無し)。
・RFMS の改訂内容を Limitations セクションに追加する点 が明確化されている。


■ 費用(FAA 推定)

・対象機数:米国登録 71 機
・ACS グリッド交換:
 20 工数+部品費 970 USD → 約 2,670 USD/機
・RFM 改訂:
 1 工数 → 85 USD/機


■ 運用・整備に関する補足

・パイロット(Private Pilot 以上)は、自ら RFM 改訂を行い、
 整備記録へ記載することが可能。
・EASA が推奨するメーカーへのデータ報告は、FAA AD では不要。


■ 今後について(暫定措置)

・FAA は本 AD を 暫定措置(Interim Action) としており、
 メーカーが恒久対策を開発中。
・恒久対策が完成すれば、FAA は追加のルール制定を検討する可能性がある。


 

FAA Emergency AD 2025-23-52 (EASA AD 2025-0249-E) エアバス・ヘリコプターズ EC130B4、EC130T2 センターシャフトアセンブリ リベット部で亀裂

2025/11/11
  • FAA AD 2025-23-52
    https://content.govdelivery.com/attachments/USFAARGL/2025/11/10/file_attachments/3456931/2025-23-52_Emergency.pdf

    対象機種
    :Airbus Helicopters EC130B4、EC130T2

  • 背景:EASA 緊急 AD 2025-0249-E(2025年11月7日)で、センターシャフトアセンブリ(P/N 350A34021401〔製造者 P/N 350A34-0214-01〕)のリベット部で亀裂が発生しうることが判明。疲労試験により寿命限度の見直しが必要とされた。

  • 不安全状態:当該亀裂が進展するとテールロータドライブシャフトの構造的破損に至り、ヘリコプターの操縦不能を招くおそれ。JASC コード:6510(テールロータ駆動軸)。

  • FAA の判断:米国外当局が承認した製品で米国内でも運用されており、同一型式の機体に同様の不安全状態が存在または発生する可能性が高いと判断。暫定措置(Interim Action)。

  • 要求事項(主旨)

    • EASA 緊急 AD 2025-0249-Eに定める措置と遵守時限準用

    • 具体的には、センターシャフトアセンブリを適合品(serviceable)に交換(別 P/N への交換、または同一 P/N でも低時間品へ交換)。

    • 非適合品の装着を禁止

  • FAA 版での例外

    1. 「有効日」は 本AD受領日を適用。

    2. EASA 文中の「飛行時間」は、**Time-in-Service(TIS)**として解釈。

    3. EASA 文書の「備考(Remarks)」は採用しない。

    4. 報告義務および部品返却要求は不要

  • 特別飛行許可禁止

  • 遵守緊急性の根拠:すでに亀裂が存在する可能性があり、即時対処が必要。米国登録機304機のうち約100機が疲労閾値超過で、10時間TIS以内の交換が必要。多くの機体が月30時間以上飛行するため、約10日以内に交換が必要になり得る。通常のパブリックコメント手続を省略。

  • AMOC(代替適合手段):FAA International Validation Branch 管理者が 14 CFR 39.19 に基づき審査・承認。使用前に管轄PIまたはFSDOへ通知。

  • 有効日受領時に即時有効

  • 発出者・日付:2025年11月10日、FAA Aircraft Certification Service Compliance & Airworthiness Division 代理副ディレクター Steven W. Thompson。

要点:EC130B4/T2 のセンターシャフト(P/N 350A34021401)の疲労亀裂リスクにより、至急の交換と非適合品の装着禁止を命じる緊急AD。EASA の内容を基礎にしつつ、即時有効・TIS表記・報告不要・特別飛行許可なしを明確化


 

FAA AD 2025-18-01 Leonardo A109/AW109 スワッシュプレート取付ナット不適切トルク指示 ロータ機能喪失

2025/10/19

FAA耐空性改善命令(AD 2025-18-01)の概要

  • 対象機種:Leonardo A109E/A109S/AW109SP/A119/AW119 MKII に適用されるとされた(A109LUH は米国型式証明がないため含まれないとされた)。

  • JASC:6220(メイン・ロータ・ヘッド)

  • 発効日2025年9月25日とされた。

  • 根拠資料:**EASA AD 2025-0131(2025年6月16日)**が引用された。

  • 意見提出期限2025年10月27日までとされた。


発行理由

  • メーカー整備手順において、スワッシュプレートASSY取付時のナット締付トルクが不適切に記載されていたことが判明したとされた。

  • 放置されればメインロータ機能の喪失に至り、機体制御喪失につながるおそれがあるとされた。


要求事項(主旨)

  • 影響を受けるスワッシュプレートナット(P/N NAS1805-4)について、亀裂・フレッティング・滑り痕の有無を反復点検することが求められた。

  • 不具合が認められた場合、未使用の NAS1805-4 に交換し、**スワッシュプレートASSYを“再構成(reconfigure)”**することが指示された。

  • EASA ADの“再取付(reinstall)”の語は、本ADでは**“再構成(reconfigure)”**に読み替えられた。

  • 2,400飛行時間での再構成は、本ADでは**任意の終結措置(オプションのターミネーション)**として扱われた。

  • メーカーへの報告提出は不要とされた。

  • 特別飛行許可(フェerry)は禁止とされた。


コンプライアンス上の補足(例外規定)

  • EASAの有効日・FH表記は、本ADの**発効日・TIS(時間)**に読み替えられた。

  • グループ定義や用語は、当該サービス資料の該当箇所に合わせて表現が置換された。


緊急性と実施時期

  • 既存機における疲労損傷の進行度が不明であることから、初回点検は発効日から50時間TIS以内に実施される必要があると判断された。

  • 公衆の安全確保の観点から、公告・意見募集の事前手続は省略され、速やかな施行が行われた。


費用見積(米国登録機 173機)

  • 点検4工時×$85=約$340/機(艦隊合計 約$58,820)と見積もられた。

  • 要交換時40工時×$85=$3,400+部品$21=約$3,421/機と見積もられた。


まとめ

Leonardo A109/AW109/A119系列で、スワッシュプレート取付ナットの不適切トルク指示が原因となりうる主ロータ機能喪失リスクが指摘された。これに対し、反復点検が要求され、不具合時はNAS1805-4未使用品への交換とASSY再構成が求められた。初回は50時間TIS以内の実施が必要とされた。


 

FAA AD 2025-18-10 Bell 505 オイルクーラーファン右ブラケット亀裂

2025/10/19

FAA耐空性改善命令(AD 2025-18-10)の概要

  • 対象:Bell Textron Canada Model 505(S/N 65011〜65020, 65022〜65027)に適用されるとされた。

  • JASC:7311(エンジン燃料/オイルクーラー)

  • 発効日2025年9月25日とされた。

  • 根拠資料:**Transport Canada AD CF-2025-23(2025年4月23日)**が引用された。

  • 意見募集2025年10月27日までコメント提出が求められた。


発行理由

  • オイルクーラーファンASSYハウジングの右側取付ブラケット亀裂が報告された。

  • 初期設計のZ形溶接ブラケットが亀裂に弱いと評価され、スロット付ボルト締結ブラケットへ改良されたとされた。

  • 放置すればドライブシャフト破損→テールロータ駆動喪失→機体制御喪失の危険があるとされた。


要求事項(主旨)

  • 一回限りの目視点検が指示された(右ブラケットの亀裂有無および必要に応じて隙間測定が求められた)。

  • **右取付ブラケットの改修(改良型への変更)**が要求された。

  • 上記はTransport Canada AD CF-2025-23の内容にFAAの例外規定を加えて履行されるとされた。


コンプライアンス(時限)

  • 初期措置25時間TISまたは30日以内(早い方)に実施されることが求められた。
    (※カナダADの「air time」はTIS
    に読み替えるとされた/発効日の参照も本ADの発効日に読み替えるとされた。)


規制手続(緊急性)

  • 公衆の安全確保のため緊急性があると判断され、公告・意見募集の事前手続を省略して即時施行とされた(ただし発効後のコメント提出は受け付けられる)。


費用見積(米国登録機6機)

  • 点検1.5工時×$85=約$128/機(艦隊合計約$768)と見積もられた。

  • 改修2.5工時×$85=約$213/機(艦隊合計約$1,278)と見積もられた。

  • 一部費用はメーカー保証で軽減され得るとされた。


その他

  • 本ADは**カナダ当局ADの取り込み(IBR)**で運用されるとされた。

  • AMOC(代替適合手段)はFAA International Validation Branch等の承認が必要とされた。

  • 連邦主義・小規模事業者への重大影響はないと評価された。


要点:Bell 505の特定S/Nにおいて、オイルクーラーファン右ブラケットの亀裂対策として“一回限りの点検”と“右ブラケット改修”が25時間TISまたは30日以内に求められた。危険性が高いと判断され、緊急の最終規則として2025年9月25日に発効された。


 

FAA AD 2025-18-09 AS332L2/EC225LPのMGBサスペンションバー取付部ボルトについて、新品への交換

2025/10/19

FAA耐空性改善命令(AD 2025-18-09)の概要

  • 対象機種:Airbus Helicopters AS332L2 および EC225LP に適用されるとされた。

  • JASC:6330(主ロータ伝達系マウント)

  • 発効日2025年10月21日とされた。

  • 根拠資料:**EASA AD 2024-0142(2024年7月17日付)**が引用された。


発行理由

  • MGB(主変速機)サスペンションバー取付ブラケットの新リンクで、取付ボルトが伸び過ぎ・変形した事例が報告された。

  • 構造的破損を招くおそれがあると判断され、予防措置が必要とされた


要求事項(主旨)

  • **後方サスペンションバー取付部(左右)に装着された取付ボルト(ねじ)**について、

    • P/N 332A22-3644-20新品に交換することが求められた

    • 取り外したボルトは点検され, 結果がAirbus Helicopters へ報告されることとされた。

  • 報告内容・期限は本ADの例外規定により30日以内の提出が求められた(点検実施日が有効日以降の場合は実施後30日以内、以前の場合は発効日から30日以内とされた)。

  • 廃棄の指示がある部品はサービスから除去されることとされた。

  • 修理指示の照会箇所は、FAA/EASA/Airbus DOA 承認の修理方法の使用が求められるとされた。

  • EASA版にある装着禁止の文言の一部は、本ADでは採用されないとされた。


点検/交換の時限(EASA要件への例外)

  • 2,500時間TISを基準とする繰り返し間隔が設定された。

    • 2,500時間以上経過、または総時間不明のボルト:次の飛行前に実施され、その後は2,500時間ごととされた。

    • 2,500時間未満のボルト:2,500時間到達前に実施され、その後は2,500時間ごととされた。


コスト見積(米国登録機)

  • 対象は38機と見積もられた。

  • ボルト8本一式の交換16工時部品$587約$1,947/機艦隊合計 約$73,986と見積もられた。

  • 検査結果の報告1工時約$85/機と見積もられた。


その他

  • 本ADは暫定措置(Interim Action)とされ、現場からの報告が原因究明と最終措置の策定に活用されるとされた。

  • AMOC(代替適合手段)はFAA International Validation Branch等の承認が必要とされた。

  • 行政手続上、本ADは小規模事業者への著しい経済影響を与えないと評価された。


要点:AS332L2/EC225LPのMGBサスペンションバー取付部ボルトについて、新品への交換・取り外しボルトの点検・結果報告義務化された2,500時間TISを基準に繰り返し管理が設定され、安全性確保の暫定措置として運用されるとされた。


 

FAA AD 2025-18-04 EC135/BK117系のホイスト・ブームASSYに対する累積サイクルの再算定と反復点検が義務化

2025/10/19

FAA耐空性改善命令(AD 2025-18-04)の概要

対象機種: EC135 系(P1/P2/P2+/P3、T1/T2/T2+/T3、EC635T2+)および MBB-BK117 C-2 / D-2 / D-3 が含まれるとされた。
JASC: 2500(客室装備)
発効日: 2025年10月21日とされた。
根拠資料: EASA AD 2023-0066 が引用された。


発行理由

設計データの見直しにより、ホイスト・ブームの累積サイクル再計算および反復点検が必要と判断された。外部荷重(特に人員吊り下げ)の影響を考慮する新たな疲労計算が導入されたとされた。
放置されればブーム破損によるホイスト荷重喪失が生じ、搭乗者等に傷害が発生するおそれがあるとされた。


要求事項(概要)

  • 影響するホイスト・ブームASSY(P/N 44301-500, 44307-500, 44307-500-1)の累積サイクルを把握することが求められた。

  • 当該ASSYについて所定間隔で点検が実施されることとされた。

  • 点検で亀裂・変形・打痕・腐食・その他損傷が確認された場合、許容範囲内は修理、基準不適合はブームASSY交換が求められた。

  • 要件未満のASSYは機体への装着が禁止された。

  • 本ADはEASA AD 2023-0066に規定された行為・時限へ原則準拠するが、適用日や是正措置表現の一部がFAA方式に置換された(報告提出は要求されないとされた)。


適用・解釈上のポイント

  • 適用機は“該当部品の装着有無を問わず”指定された。コメントに対しても、インストール制限を全機に及ぼす必要があるとして改定は行われなかったとされた。

  • EASAの適用には一部FAA型式証明外モデルが含まれるが、本ADはそれらを含まないとされた。


コンプライアンス負担(概算)

  • 累積サイクル算定: 0.5工時(約$43/機)と見積もられた。

  • ブーム点検: 4工時(約$340/機、米国艦隊で1サイクルあたり約$248,880)と見積もられた。

  • 許容内修理: 最大1工時+少額部品で最大約$85/機と見積もられた。

  • ASSY交換: 最大5工時+部品最大$88,812最大約$89,237/機と見積もられた。


代替手段(AMOC)

FAA International Validation Branchによる承認が案内された。承認前に管轄事務所への通知が求められた。


まとめ

EC135/BK117系のホイスト・ブームASSYに対する累積サイクルの再算定と反復点検が義務化された。基準超過の損傷は交換が求められ、要件未満ASSYの装着は禁止された。新しい疲労計算(外部荷重・人員吊り下げ考慮)に基づく安全性確保措置であるとされた。発効は2025年10月21日とされた。


 

FAA AD 2025-20-11 Beechraft B200 , 300 方向舵プッシュロッドに不適切なリベットが使用された可能性

2025/10/19

米国連邦航空局(FAA)耐空性改善命令(AD 2025-20-11)

対象機種:
Textron Aviation Inc.(旧Beechcraft)製

  • B200GT

  • B200CGT

  • B300

  • B300C
    (特定のシリアル番号機が対象とされた)


📌 発行の背景

生産中の地上運転試験において、方向舵操作プッシュロッドが破損した事例が報告された
調査の結果、強度要件を満たさないリベットが誤って使用されていたことが確認された
このまま放置された場合、方向舵の固着または操舵喪失が生じるおそれがあると判断された。
その結果、機体の制御を失う危険性があるため、FAAにより耐空性改善命令が発行された。


🛠️ 要求された対応

  • 発効日: 2025年10月17日

  • 実施期限: 発効日から 20飛行時間または30日以内(早い方)に実施されること

指示された内容:

  1. 操縦席および副操縦席側の方向舵プッシュロッドのリベットを目視点検することが求められた

  2. 不適切なリベットが確認された場合、Beechcraft Mandatory Service Letter MTL-27-07(2025年7月25日付)に基づいて交換が行われることとされた。

交換基準:

  • 同一ロッド端に柔らかいリベットが2本並んでいる場合 → 飛行前に即時交換することが指示された。

  • 柔らかいリベットが1本だけある場合 → 200飛行時間または12か月以内に交換することが求められた。


💰 費用見積もり

米国内登録機 89機が影響を受けると見積もられた。

作業内容 作業時間 部品費 機体1機あたり費用 全米合計見積
点検作業 約8時間 × $85 $0 約$680 約$60,520
交換作業(必要時) 約16時間 × $85 + 部品$65 約$1,425

一部費用はメーカー保証により補償される可能性があるとされた。


⚖️ 緊急採用の理由

FAAは、飛行中に予告なく方向舵制御を失う危険があると判断したため、通常の公告・意見募集手続きを省略した。
緊急性が高いとされ、告示から30日以内に即時発効されることが決定された。


📄 参照資料

  • Beechcraft Mandatory Service Letter MTL-27-07(2025年7月25日発行)

  • 問い合わせ先:
    FAA Aviation Safety Engineer, David Enns
    電話 (316) 946-4147 / Email: david.enns@faa.gov


🗓 意見提出

意見提出期限は2025年11月17日までとされた。
提出は regulations.gov の Docket No. FAA-2025-3424 宛に行われることとされた。


🏛 その他

  • 当該命令は米国内航空機に限定された措置であり、アラスカ州内の航空活動には影響しないとされた。

  • 本ADは法的拘束力を有する最終規則として2025年10月2日に公布された。


まとめ:
Textron(Beechcraft)製King Airシリーズの一部機体で、方向舵プッシュロッドに不適切なリベットが使用された可能性があると報告された。
このためFAAは、即時点検および交換を義務づける緊急の耐空性改善命令を発効した。
発効日は2025年10月17日、点検は20飛行時間または30日以内に行われることが求められた。


 

FAA AD 2025-17-14

2025/09/04

 

FAA AD 2025-17-08 DHC-3 ロックリング存在確認 二次保持装置追加義務スタビライザ・アクチュエータの安全性強化措置

2025/08/26

FAA AD 2025-17-08 (Viking Air Limited DHC-3)

https://www.federalregister.gov/d/2025-16190

対象機種

  • Viking Air Limited Model DHC-3(旧 Bombardier / de Havilland 設計)

発効日

  • 2025年9月29日

背景

  • 以前の AD 2022-23-08 ではスタビライザ・アクチュエータのロックリング点検を義務化していた。

  • しかし 2022年9月4日に米国ワシントン州 Mutiny Bay で発生した DHC-3 墜落事故の調査(NTSB 2023年9月報告)で、

    • クランプナットとスタビライザ・バレルが分離

    • ロックリングが欠落

    • 非承認のモイスチャシールが設置され摩擦が増大
      という問題が判明し、ロックリング欠落が事故原因の一因とされた。

  • これを受け、カナダ運輸省(Transport Canada)が AD CF-2024-46 を発行、FAA もそれを基礎に今回の新ADを策定。

要求される措置

  • スタビライザ・アクチュエータの 繰り返し点検(ロックリングの存在、正しい装着状態、クランプナットとの噛み合わせ確認)。

  • 必要に応じた修理・交換。

  • トルクシール(witness mark)の適用。

  • セカンダリ保持機構(二次固定機構)の追加装備をもって、繰り返し点検を終了可能。

  • 不適合部品(ロックリング欠落・未改修アクチュエータ)の取付は禁止。

費用見積り(米国登録機 64機対象)

  • 点検:1時間 × $85 = $85 /サイクル

  • トルクセール適用:$85

  • 二次保持機構の装備:17時間 × $85 = $1,445 + 部品 $795 → 約 $2,240

  • 不具合時の修理:15時間 × $85 = $1,275 + 部品 $50 → 約 $1,325

FAAの差異(カナダADとの違い)

  • Transport Canada が示した「新クランプナットとセーフティワイヤを用いたオプション改修」の代わりに、FAA は 330時間以内に必ず二次保持機構を装備することを要求。

  • カナダ当局へのレポート提出義務は免除。

目的

  • ロックリングの欠落によるクランプナットの分離を防ぎ、昇降舵制御の喪失を防止。

  • 飛行中のピッチ制御喪失を防ぐことを最優先としている。


 

FAA AD 2025-17-10 A109 A119 操縦系統アクチュエータ取付ボルト誤装着防止、25時間以内緊急点検

2025/08/26

FAA AD 2025-17-10 Leonardo Helicopters

https://www.federalregister.gov/documents/2025/08/25/2025-16261/airworthiness-directives-leonardo-spa-helicopters

対象機種

  • Leonardo S.p.A. A109A, A109A II, A109C, A109K2, A119

  • 一部の AW119 MKII

発効日

  • 2025年9月9日

背景

  • ピッチ(縦方向)アクチュエータおよびロール(横方向)アクチュエータをサイクリック制御系のベルクランクに取り付けるボルトが誤って装着されたとの報告あり。

  • 整備手順に誤解を招く情報が含まれていたことが判明。

  • この不具合は操縦系統の作動範囲を制限し、最悪の場合ヘリコプターの制御喪失につながる恐れがある。

要求される措置

  • 該当ボルトの一回限りの点検を実施。

  • 点検の結果に応じ、損傷や誤装着がある場合はボルト交換や関連部品の修正を行う。

  • 損傷の定義は「摩耗を含む」。

  • 特定の誤解を招く整備指示書は、今後使用を禁止。

  • 特別飛行許可は認められない。

  • 実施期限:25時間以内の運航時間で対応が必要。

コスト見積り

  • 対象機数:米国登録機 238機

  • 点検:1時間 × $85 → 機体あたり $85(合計 約 $20,230)

  • 必要に応じた修理:39時間 × $85 = $3,315 + 部品代 $24 → 機体あたり $3,339

根拠

  • 欧州航空安全機関(EASA)AD 2025-0142(2025年7月7日付)を基礎にFAAが採用。

  • 連邦航空法 49 U.S.C. §44701 に基づく発行


 

FAA AD 2025-17-03 AS332L 緊急用シーアンカーのピンに腐食が発生したとの報告。 極度の腐食によりピンが破断すると、飛行中にシーアンカーが誤って展開し、ローターを損傷して操縦不能に至る危険性

2025/08/25

FAA耐空性改善命令 (AD 2025-17-03) 
https://www.federalregister.gov/documents/2025/08/22/2025-16082/airworthiness-directives-airbus-helicopters

対象機種
Airbus Helicopters

  • AS332L

  • AS332L1

  • AS332L2

  • EC225LP

発効日
2025年9月8日

背景

  • 欧州航空安全局(EASA)から、緊急用シーアンカーのピンに腐食が発生したとの報告。

  • 極度の腐食によりピンが破断すると、飛行中にシーアンカーが誤って展開し、ローターを損傷して操縦不能に至る危険性がある。

要求事項

  • シーアンカーの点検を10時間の飛行時間以内または7日以内に実施。

  • 腐食や亀裂が確認された場合、または直径が8.0mm以下の場合は、直ちに交換

  • EASA緊急AD 2025-0146-E(2025年7月10日発行)を基準として実施。

  • 報告義務は課されない。

  • フェリーフライト用の特別飛行許可は認められない。

規制理由

  • 腐食は急速に進行する可能性があり、即時対応が必要。

  • 通常の意見募集手続を経ずに即時発効。

費用見積もり(米国内44機)

  • 点検:1機あたり128ドル(計約5,632ドル)

  • 必要に応じた交換:1機あたり約4,791ドル(部品代含む)

位置づけ

  • 本ADは暫定措置(interim action)であり、製造者の調査結果によっては追加的な規制措置が取られる可能性がある。


 

FAA AD 2025-17-02 Airbus EC120B / EC130シリーズにおける非常用フロートシステムの固定リング欠落問題を是正

2025/08/25

AD 2025-17-02 (Airbus Helicopters)

https://www.federalregister.gov/documents/2025/08/22/2025-16083/airworthiness-directives-airbus-helicopters



対象機種 

  • Airbus Helicopters

    • EC120B

    • EC130 B4

    • EC130 T2

発行日・発効日

  • 発行:2025年8月22日

  • 発効日:2025年9月26日

背景

  • 整備点検で、非常用フロートシステム (EFS) のインフレーションアセンブリにおいて、供給ホースと中央供給カップリングの間のリテーニングリングが欠落している事例が報告された。

  • この不具合が未発見のままだと、片側のみ浮袋が膨張 → 着水後にヘリコプターが即座に転覆し、乗員の避難が妨げられる恐れあり。

要求される対応

  1. EFS のインフレーションアセンブリにリテーニングリングがあるか点検

  2. 欠落があれば 是正措置(リング取付、または Safran Aerosystems に送付)

  3. 対象のインフレーションアセンブリを持つ EFS の新規搭載は禁止

適用除外

  • 対象部品が搭載されていない機体は追加対応不要(グループ2扱い)。

参照文書

  • EASA AD 2023-0166 (2023年8月25日発行)

  • Safran Aerosystems Service Bulletin 025-69-42 (2023年6月13日改訂00)

コスト影響(米国推定)

  • 対象機体:359機

  • 点検:

    • $383/機(労務4.5時間)

    • 米国全体で $137,318

  • 必要に応じた修理(リング取付):

    • $32/機

追加事項

  • フライト許可:必要な場合、旅客なし・水上飛行なしのフェリーフライトは特別許可可

  • 報告義務は不要。

  • AD 文中では段落整理・文言の一部修正あり(ASB/SBの参照明確化など)。

規制上の位置付け

  • FAA の安全性確保の権限(49 USC 44701)に基づき発行。

  • 小規模事業者への経済的影響は軽微。


 

FAA AD 2025-16-08 EC130B4 T2 テールローターブレード

2025/08/19

AD番号: 2025-16-08
発効日: 2025年9月22日
対象機種: Airbus Helicopters EC130B4 / EC130T2
部位: テールローターブレード(TRB)


発行の背景

  • TRBの根元部分に疲労亀裂が発生する可能性が判明。

  • 亀裂が進展するとブレード破損やヘリコプターの操縦不能につながる恐れがある。


要求される措置

  1. 定期的なDye Penetrant Inspection(DPI: 浸透探傷検査)を実施。

    • 亀裂が見つかった場合はTRB交換

  2. 指定措置を行わない限り、該当TRBの新規装着は禁止

  3. 特別飛行許可(フェリーフライト)不可

  4. 整備・点検プログラムへ定期検査を組み込むことで、繰返し検査の終了措置とできる。


コメントへの対応(主な変更点)

  • 当初案にあった蛍光浸透探傷検査(FPI)専用要求や**検査員資格(Level II/III必須)**は、過度な負担との指摘を受け削除。

  • DPI(染色浸透探傷検査)も許容。ただしFPIが望ましい方法とされる。

  • EASAの改訂版(AD 2022-0150R1)に基づき、整備マニュアルの改訂を反映。


コスト影響(米国登録機:約275機対象)

  • 検査: 1時間あたり$85、最大$850/機(最大10ブレード/機)。

  • 交換: 1ブレードあたり$4,515(作業4時間+部品費)。

  • 整備プログラム改訂: $85/機。


結論

FAAは、EASAの指摘を踏まえ、米国で運用されるEC130B4/T2について安全性を確保するため本ADを採用。疲労亀裂によるTRB破断・操縦不能リスクを防ぐことが目的。


 

FAA AD 2025-11-07 Robinson R44

2025/06/11

米国連邦航空局(FAA)耐空性改善命令(AD 2025-11-07) 
https://www.federalregister.gov/documents/2025/06/06/2025-10097/airworthiness-directives-robinson-helicopter-company-helicopters



対象機種:

  • Robinson Helicopter Company

    • R44

    • R44 II


発効日:

  • 2025年7月11日


背景:

  • メインローター(M/R)駆動系のクラッチシャフト前方ヨーク(yoke)の疲労亀裂による破損報告。

  • 既存のAD(2024-19-11)で点検と交換が義務付けられていたが、代替点検方法に関する明確化が必要との判断。


主な変更点(2024-19-11からの差分):

  • 代替手段としての磁粉探傷検査が繰り返し行われるべきことを明記。

  • 塗装除去剤として「Bonderite S-ST 5351」の使用を新たに認可。

  • 「初回装着」には、磁粉探傷検査後の再装着も含まれることを明記し、適用条件を明確化。


FAAが義務付ける対応:

  1. 100時間TIS以内に以下を実施:

    • フレックスプレート(P/N C947-1)の緩み、亀裂、腐食等の目視点検。

    • ヨーク(P/N C907-1, C907-2, C908-1)の亀裂や摩耗の点検。

    • 各フレックスプレートボルトのトルクストライプ、パルナット等の確認。

  2. 特定の累積時間または使用年数を超える前に以下のいずれかを実施:

    • ヨークの交換(新しいボルト・ナット・パルナットで再組付け)。

    • 塗装除去後、10倍ルーペでの点検と磁粉探傷検査を組み合わせた代替手順を選択可能。


費用見積(米国登録機体 1,725機):

  • フレックスプレート点検:$21/機体(全体 $36,225)

  • フレックスプレート交換:$1,325/機体

  • ヨーク点検(ボルト含む):$106/機体(全体 $182,850)

  • ヨーク交換:$1,400/機体(全体 $2,415,000/交換サイクル)

  • ヨーク塗装除去・拡大検査:$128/機体

  • 磁粉探傷検査:$128/機体

  • トルク適用:$85/機体


特記事項:

  • 乗客がいない限り、整備地点までの一時飛行許可(Special Flight Permit)発行が可能。

  • 代替方法(AMOC)の申請はFAA西部認証支局に提出が必要。


目的:

  • クラッチシャフト前方ヨークの疲労亀裂によるメインローター駆動損失と、それに伴う制御喪失の防止が目的とされる状況報告



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FAA AD 2025-10-01

2025/06/11

FAA AD 2025-10-01

https://www.federalregister.gov/documents/2025/06/06/2025-10331/airworthiness-directives-airbus-helicopters

対象機種:

  • Airbus Helicopters

    • AS350B2

    • AS350B3

    • EC130B4


発効日:

  • 2025年7月11日


背景:

  • 飛行中のホバリング移行時にカーゴスイングフレームが破損し、搭載物が落下する事例の報告。

  • 調査の結果、従来の点検周期(飛行時間ベース)ではなく、スリングサイクル(SC)ベースでの管理が必要との判断。


FAAの対応(ADの内容):

  • 対象機に対し、定期的なカーゴスイング取り付け部とフレームの目視点検が求められる。

  • 状況に応じて染色浸透探傷検査の実施が求められる。

  • 損傷やクラック等が確認された場合は、飛行前にフレームを交換することが求められる。

  • 点検頻度は、12か月と36日、または550スリングサイクルのいずれか早い方の間隔で繰り返し実施が求められる。


EASA(欧州航空安全局)ADとの相違点:

  1. EASAではパイロットによる点検も認められているが、FAAでは14 CFR 43.3の認可を受けた整備士による実施が求められる。

  2. “SC”の定義を「Swing Cycles」から「Sling Cycles」へ変更することが求められる。

  3. EASAは1回限りの点検指示だが、FAAでは継続的な点検の実施が求められる。

  4. EASAでは異常があった場合にAirbusに連絡して対応指示を受けるが、FAAでは速やかにカーゴスイングフレームを交換することが求められる。


費用見積:

  • 目視点検:2時間 × $85 = $170/機体(全米で約1,184機が対象との見積もり)

  • 染色浸透検査:6時間 × $85 = $510(必要に応じて実施が求められる)

  • カーゴスイングフレーム交換:部品費$25,507+工賃4時間=$25,847/機体の見積もり


目的:

  • 空中での貨物落下や、それに伴う機体損傷・操作困難のリスク防止が求められる


 

FAA AD 2025-10-02 EC225LP サーチライト 電気ボンディング

2025/06/04

FAA耐空性改善命令(AD 2025-10-02)
https://drs.faa.gov/browse/excelExternalWindow/FR-ADFRAWD-2025-10032-0000000000.0001


一部のEC225LP型ヘリコプターに装備されているサーチライトに電気ボンディングが欠落していることが判明
サーチライトの取付位置が落雷を受けやすい場所にあるため、ボンディング不良により落雷時に電気系統が完全に失われる危険性がある


【要求事項】

  • 電気ボンディングブレードの取付け(改修作業)を義務付け

  • 該当パーツ番号のサーチライトは、改修作業を行わない限り再装着禁止

  • 改修後は**導通テスト(抵抗値測定)**を行い、8オーム以上の場合はFAA等の承認された方法にて是正措置を実施


【対象機種】

  • Airbus Helicopters EC225LP 型の一部(EASA AD 2023-0030に記載されたシリアル番号)


【適用日】

  • 2025年7月8日から有効


【作業時間と費用の見積】

  • 改修作業:約14時間/機体あたり$17,560(部品費含む)

  • 米国での対象機数:9機(合計費用:最大約$158,040)

  • 導通テストは軽微な作業だが、是正措置が必要な場合は内容により費用が変動


【FAAとEASAの差異】

  • EASAではカレンダー時間に10%の猶予があるが、本ADでは猶予なし

  • 材料記載の一部文言(例:「両面」→「各面」)や手順表記がFAA版で明確化されている

  • レポート提出義務はFAA版では不要


【参照資料】

  • 本ADは、EASA AD 2023-0030(2023年2月2日付) を参照

  • 作業内容は Airbus Helicopters Alert Service Bulletin No. EC225-33A018(2023年12月15日発行)に基づく



 

FAA AD 2025-09-13 AS350 スライディングドアー

2025/06/03

米国連邦航空局(FAA)による新たな耐空性改善命令(AD 2025-09-13)
https://www.federalregister.gov/documents/2025/06/02/2025-09889/airworthiness-directives-airbus-helicopters


【対象機種】
Airbus Helicoptersの以下モデル:
AS350B, AS350BA, AS350B1, AS350B2, AS350B3, AS350D, AS355E, AS355F, AS355F1, AS355F2, AS355N, AS355NP

【発効日】
2025年7月7日

【背景と目的】
飛行中、開いた状態でロックされていたスライディングドアが脱落した事例を受け、ドアの上部レールローラーに設計上の不具合(ロック機構が一重で不十分)が判明。このADは、同様の事故を防ぐための安全対策を目的としている。

【要求される措置】

  • 特定の上部レールローラーの改修

  • 各スライディングドアへのラベル貼付

  • 改修前のローラーやそれを装備したドアの取り付け禁止

これらの措置は、欧州航空安全庁(EASA)AD 2023-0131に基づき行われる。

【適用除外】
EASA ADに含まれているAS350BB型式は、FAAでは型式認証されていないため適用外。

【遵守期限】
EASA ADの規定に準じるが、FAA AD発効日を基準とする。

【経済的影響】

  • 対象機数(米国内):972機

  • 作業時間:約8時間

  • 部品代含む費用:約3,348ドル/機

  • 米国全体での推定コスト:約325万ドル
    ※一部費用はメーカー保証でカバーされる可能性あり。

【安全性への影響】
改修を行わない場合、飛行中にドアが脱落し、機体損傷または地上の人身事故に繋がるおそれがある。


 

FAA AD 2025-08-02 Airbus Helicopters Model H160-B Jettisoning function of the window

2025/04/18
FAA AD 2025-08-02
https://www.federalregister.gov/documents/2025/04/17/2025-06560/airworthiness-directives-airbus-helicopters

H160-B 非常脱出用窓の動作不良に関する耐空性改善命令(AD)

【背景】

Airbus Helicopters H160-B型ヘリコプターの非常脱出用窓において、ロック解除フィンガーの動作が重く、非常時に開放できない報告が複数件発生。調査の結果、解除操作に過度の力が必要な状態と判明。FAAは緊急脱出が妨げられるリスクに対応するため、ADを発行。


【義務内容】

  1. 定期潤滑
    各非常脱出用窓のロック解除フィンガーに対して潤滑を定期実施。

  2. 動作試験
    潤滑後、窓の脱出機能が正常に作動するか確認。

  3. 是正措置
    異常がある場合は、FAA・EASA・Airbusの承認を得た修理方法で対応。


【対象機種と部品】

  • 型式:Airbus Helicopters H160-B

  • 対象:表に示された各非常脱出用窓(パイロット・副操縦士・左右スライドドア・中間窓等)


【発効日・期限】

  • 発効:2025年5月2日

  • 初回対応期限:発効後3ヶ月以内


【コスト見積】

  • 作業時間:潤滑・試験 各3時間(計6時間)

  • 作業費:1機あたり $510($85 × 6時間)

  • 影響機数:米国内で9機

  • 合計費用(1サイクル):$4,590


【FAAの判断】

非常脱出用窓は緊急脱出手段として重要。動作不良により脱出遅延のリスクがあるため、迅速対応が必要と判断し、意見募集を経ずに即時発効。


【EASA ADとの差異】

  • 対象部品を明確な品名・品番で指定

  • 修理内容の承認をFAA・EASAまたはDOA経由に限定

  • 一部報告義務・禁止項目は省略


 

HondaJet  HA-420 オーバーラン 米国

2025/04/14
AOPA 記事抜粋

https://aopa.org/news-and-media/all-news/2025/april/10/hondajet-owners-seek-to-stem-runway-excursions-with-training

2025年4月7日、オレゴン州の空港でHondaJet HA-420が滑走路をオーバーランし、海に部分的に沈んだ状態で停止した。パイロットと4人の乗客は救助され、後に全員が病院から退院した。4月9日にはフロリダ州でも別のHondaJetが滑走路を外れ、芝生に突っ込む事故が発生した。負傷者はいない。

HondaJet HA-420に関しては、2015年の型式認証以来、35件の事故・インシデントが記録されており、そのうち29件が離着陸時の滑走路逸脱に関連している。

要因としては、濡れた滑走路や追い風に加え、スラストリバーサーの非搭載、小径タイヤ、高い着陸速度といった機体設計上の特徴が、地上滑走時の操縦性に影響を与えている可能性がある。

HondaJetオーナーおよびパイロット協会(HJOPA)は、こうした傾向を改善するため、2025年5月に「HJOPA Proficient Pilot Program」という訓練プログラムを開始予定である。このプログラムでは、HondaJet特有の操縦技術を強調している。

たとえば以下のような点が挙げられている:

  • 着陸速度の加算は危険:突風に備えて速度を増すのは逆効果

  • 柔らかい接地を避ける:1.5G程度のしっかりとした接地で、タイヤの摩擦を最大化し方向安定性を確保

  • ノーズホイールの早期接地(デ・ローテーション):素早く前輪を地面につけることで制御性が向上

  • 横滑り(サイドスリップ)は推奨されない:クラブアンドキック法で対応し、最後の瞬間に進行方向を調整する

また、FAA(米国連邦航空局)は、4月11日に特定のHA-420を対象とした新しい耐空性改善命令(AD)を発行予定である。これは、フラップ制御プッシュロッドの腐食防止処置に関するもので、今回の事故とは無関係である。

HJOPAは、「HondaJetの着陸は“何もしないことの技術”」と表現し、正しい訓練と手順に従えば、HondaJetは安定して着陸できる機体であると強調している。

参考資料
https://aviationweek.com/business-aviation/aircraft-propulsion/hondajet-runway-excursions-raise-questions

1. 地上での方向制御性の難しさ(Controllability)

  • 着陸後の滑走時に 左右への揺れ(パイロット誘発振動)が起きやすく、車輪の接地圧(WOWモード)の変化によりブレーキが作動しないケースも。

  • NASAや日本運輸安全委員会の報告でも、方向制御を失った逸脱例が複数報告されている。

2. 制動性能(Stop Ability)の不安

  • HondaJetにはスラストリバーサーが無く、ブレーキのみに依存して停止する設計。

  • タイヤが小さく接地面積が限られていることも影響。

  • 初期モデルはスピードブレーキも無く、現在はElite IIで改善。

3. クロスウィンドへの脆弱性

  • 車輪が短く翼が地面に近いため、片翼が接地しやすい。

  • 最大クロスウィンド制限は20ktで、それを超えると設計上リスクが増す。

  • 一部事故ではクロスウィンドが制限を明らかに超えていた。




 

FAA AD 2025-07-01 Thommen Aircraft Equipment AG AC32 (ADC)

2025/04/11
FAA AD 2025-07-01

https://www.federalregister.gov/documents/2025/04/10/2025-06066/airworthiness-directives-thommen-aircraft-equipment-ag-digital-air-data-computers

FAA耐空性改善命令(AD)2025-07-01 概要

■ 対象機器

THOMMEN AIRCRAFT EQUIPMENT AG 製 AC32 デジタル・エアデータ・コンピュータ(ADC)
(特定のパート番号とシリアル番号)

■ 発効日

2025年5月15日


■ 背景

EASA AD 2024-0024 によると、AC32 ADC において**−20℃以下で機能停止する事例が報告されている。
これは
電源モジュールの不具合が原因で、エラーが発生しても誤ったデータを送信することはないものの、ナビゲーションデータの提供不足により、航空機の制御性が低下する可能性あり。


■ 要求される対応

【対象機体(Group 1)】

  • 12か月以内に該当するADCを取り外し、サービス可能な部品と交換

  • THOMMEN SB AC32/07 Rev.1.0(2023年8月31日発行)に基づいて実施

【全機体共通(Group 1 & 2)】

  • 本ADの発効日以降、該当ADCの取り付け禁止


■ 適用対象航空機(一部抜粋)

以下を含む複数機種に該当ADCが搭載可能(STC含む):

メーカー 機種名
Airbus Helicopters AS332C, AS332L, AS332L1 など
Bell Textron Inc 212, 412, 412EP
Leonardo S.p.a AW139, AW189, A109, A109S 他
Kawasaki Heavy Industries KV107-II
Columbia Helicopters 107-II, 234
Bombardier, Textron, Viking CL-600, 200シリーズ, CL-215Tなど

■ 該当部品

以下の形式のすべてのシリアル番号で、SB付録Aに記載されたもの:

  • AC32.10.21.10.XX

  • AC32.10.21.11.XX

  • AC32.11.21.10.XX

  • AC32.11.21.11.XX

(※「XX」は任意の英数字)


■ 特別飛行許可(Special Flight Permit)

  • −15℃以上の飛行条件下での1回限りの整備フェリーフライトが許可される可能性あり


■ 費用見積(米国内最大401台と仮定)

作業内容 作業費用(1台) 部品費用(1台) 合計(1台) 合計(最大)
ADC交換作業 $1,020 $4,477 $5,497 $2,204,297

※ 一部費用はメーカー保証により相殺される可能性あり


 

FAA AD 2025-06-51 Emergency Bell 505

2025/04/11
FAA AD 2025-06-51 Bell Textron 505 

https://www.federalregister.gov/documents/2025/04/10/2025-06121/airworthiness-directives-bell-textron-canada-limited-helicopters

■ 対象機種

Bell Textron Canada Limited 製 Model 505 ヘリコプター(特定のシリアル番号)

■ 発効日

2025年4月25日
※緊急AD(Emergency AD 2025-06-51)は2025年3月21日に即時発効済


■ 概要

このADは、後部可動バラストボックス(P/N SLS-706-201-007)内のドアヒンジの変形およびピンの不適切な係合によって、バラストウェイトが脱落し、テールローターに衝突する可能性があるという不具合を受けて発行


■ 要求される対応内容(Transport Canada 緊急AD CF-2025-17に基づく)

  • バラストボックス内の全バラストウェイトを取り外すこと

  • 同バラストボックスへのバラストウェイトの使用を禁止する


■ 危険性(Unsafe Condition)

バラストウェイトがボックスから脱落すると、テールローターに衝突し

  • テールローターの損傷・脱落

  • 推力喪失

  • 強い振動

  • 操縦不能のリスク
    を引き起こす可能性があり、航空安全に重大な影響を及ぼす。


■ コンプライアンス(対応期限)

  • AD発効日までにすでに作業が完了していない場合飛行前に実施が必要。


■ フライト許可

特別飛行許可(Special Flight Permit)は禁止


■ 暫定措置(Interim Action)

本ADは暫定措置です。Bell社は現在、恒久的な点検・修理手順を開発中であり、将来的にさらなるADが発行される可能性があります。


■ 費用見積(米国登録174機対象)

作業内容 作業時間 部品費用 合計コスト(1機) 合計コスト(全米)
ウェイト取り外し 0.5時間 × $85 $0 $42.50 $7,395

 

FAA AD 07-06 H160-B

2025/04/11
FAA AD 07-06

https://www.federalregister.gov/documents/2025/04/10/2025-06067/airworthiness-directives-airbus-helicopters

■ 対象機種

Airbus Helicopters 型式 H160-B(すべての機体)

■ 発効日

2025年4月25日

■ 概要

本ADは、2024年に発行されたAD 2024-26-01を置き換えるものであり、「ロータースカイザー球面ベアリング(rotating scissors spherical bearings)」の過度な軸方向の遊び(axial play)によって引き起こされる操縦制御の低下リスクに対処するものです。

■ 主な内容

  • 初期点検のタイミング変更
    従来より早いタイミングで最初の点検を実施するよう変更。

  • 影響部品の適用拡大
    すべてのシリアル番号の球面ベアリングが対象に。

  • 繰り返し点検の追加
    一度の点検に加え、所定の基準を満たさない場合は継続的な再点検を要求。

  • 報告要件の拡張
    ベアリングの軸方向の遊びが 0.20mm を超えた場合などには、Airbus Helicopters社への報告が義務。

  • 影響を受けた部品の取り付け制限
    要件を満たしていない部品の新規取り付けは禁止。

■ 要求される作業(EASA AD 2025-0040 に基づく)

  • 回転スカイザー球面ベアリングの軸方向遊びの測定

  • 必要に応じて、ベアリングの交換

  • 点検結果をAirbus Helicopters社へ報告

  • 対象の部品は、必要条件を満たすまで使用不可

■ 点検・交換コストの見積(米国登録機:9機)

  • 点検作業:1機あたり約$170(2時間)

  • 報告作業:1機あたり約$85(1時間)

  • 交換が必要な場合:1個あたり約$1,470(部品代+2時間の作業)

■ コメント受付期限

2025年5月27日までに意見提出が可能(ADは既に発効)

■ 特記事項

  • フライト特別許可(Special Flight Permit)は許可されません

  • FAAは、これを暫定的措置(Interim Action)とし、将来的にさらなる措置を検討する可能性あり


 

FAA AD 2025-07-08 AS332C AS332L テールローター

2025/04/11

■ 対象機種

Airbus Helicopters 製 AS332C、AS332C1、AS332L、AS332L1 型ヘリコプター

■ 発効日

2025年4月25日

■ 背景

AS332L1型ヘリでテールローター(TRH)アセンブリのスライド部分が破損し、ピッチコントロールを失うという事故報告。
調査の結果、スライドの亀裂が原因と判明。
類似設計の他モデルにも同様のリスクがあると判断される。

■ 要求される対応(EASA AD 2025-0001 に準拠)

  • TRHアセンブリのスライド部分に、傷、亀裂、腐食がないかを点検

  • 腐食が確認された場合は除去し、必要に応じて部品の交換

  • 点検結果をAirbus Helicopters社に報告

  • 問題が確認されたTRHアセンブリの再使用は禁止(点検を通過すれば再使用可能)

※交換内容は、スライド、ピッチコントロールアセンブリ、またはTRHアセンブリ全体となる可能性あり。
※修理や交換は、EASA、FAA、またはAirbus DOA(Design Organization Approval)による承認が必要。

■ 特記事項

  • 適用対象の部品は、FAAが本ADにより明記する手順でなければ使用不可

  • フライト特別許可(Special Flight Permit)は禁止

  • 点検結果報告は、AD発効日以降は点検後7日以内(それ以前の点検は発効日から7日以内)

■ コスト見積もり(米国内10機が対象)

  • 点検作業:約$170(2時間)

  • 腐食除去:約$85(1時間)

  • スライド交換:約$8,552(部品+6時間)

  • TRHアセンブリ交換:約$249,612(部品+8時間)

  • ピッチコントロールアセンブリ交換:約$31,020(部品+12時間)

  • 点検報告:約$85(1時間)


 

EAGLE  航空用ガソリンからの鉛排出をなくす取り組み 無鉛燃料 SAIB 2025-04

2025/03/29

米国 FAA SAIB 2025-04
無鉛燃料に関する特別耐空性情報通報(SAIB) 2025-04】
https://drs.faa.gov/browse/excelExternalWindow/DRSDOCID139871502220250328153822.0001

発行日:2025年3月28日
※これは情報提供のみ。推奨事項は義務ではない。

■ 概要

このSAIBは、航空機運航者、整備業者、FAA修理工場、FSDO、外国民間航空当局に対し、無鉛燃料を使用した際の問題(整備上のトラブルなど)をFAAへ報告するよう勧めている
FAAは、現時点で耐空性指令(AD)を出す必要がある危険な状態は確認されていない

■ 背景

FAAは2022年に、EAGLE(航空用ガソリンからの鉛排出をなくす取り組み)を発表。アメリカのレシプロ機が安全かつ効率的に無鉛燃料へ移行することを目指している。

現在、いくつかの無鉛燃料が使用可能で、今後さらに増える見込み。使用の可否は、TCDS(型式証明データシート)やSTC(補足型式証明)などで確認できる。

FAAは、100LL(鉛入り燃料)使用時の問題と、無鉛燃料による新たな問題を区別する必要がある。

■ 報告のお願い

以下の情報をFAAへ報告してほしい(問題がない場合でも歓迎):

  • 航空機の機種/製造年

  • 無鉛燃料のメーカー・種類

  • エンジンの型式と、新造またはオーバーホール後の時間

  • 無鉛燃料の使用量(ガロン/リットル)

  • 無鉛燃料へ切り替えてから問題が出るまでの時間

  • エンジンの総運転時間と、無鉛燃料での使用時間

  • 100LLとの混合の有無

必要に応じて、次の詳細も提供してほしい:

  • 問題の内容と発生日

  • 無鉛燃料使用前の整備履歴(ホース、ガスケット、シーラントなど)

  • 燃料漏れやシール材の劣化

  • 燃料タンクやエンジン内部の写真

  • 性能低下、部品の劣化や破損状況

  • 異物混入や燃料系の異常など

FAAが追加の質問をする場合に備えて、連絡先と希望の連絡方法も記載してほしい(報告データに連絡先は残さない)。


EAGLE
( Eliminate Aviation Gasoline Lead Emissions )に関する資料
2030年までに無鉛燃料へ移行
https://www.faa.gov/unleaded
https://www.faa.gov/sites/faa.gov/files/FAQs_FAA_UL_Fuel_Development.pdf

各メーカーの取り組み(例)Cirrus Aircraft
http://servicecenters.cirrusdesign.com/tech_pubs/SR2X/pdf/SA/AllAdvisories/2024ServiceAdvisories/SA24-14/SA24-14.pdf

Lycoming
https://www.lycoming.com/fuels
https://www.lycoming.com/service-instruction-no-1070-AB

【Lycoming社の無鉛燃料への取り組み】

Lycoming Enginesは、95年以上にわたりピストン航空機エンジンを製造しており、安全を最優先に無鉛燃料の導入に積極的に取り組んでいる。業界共同の取り組みである
PAFI(ピストン航空燃料イニシアチブ)およびEAGLE(航空用ガソリンからの鉛排出をなくす)に参加し、複数の無鉛燃料を自社エンジン用に承認済み。

■ PAFIとEAGLEの違い

  • PAFI(2014年開始):候補となる無鉛燃料の評価・試験を行い、FAAが全機種に適用できる燃料として承認する仕組み。

  • EAGLE(2022年開始):PAFIを含むより広範な産官学連携プロジェクトで、2030年までの鉛除去を目指している。

■ LycomingがSTCよりPAFIを支持する理由

  • STC(補足型式証明)による承認では、燃料メーカーがFAAと直接やり取りし、LycomingのようなTC(型式証明)保有者は技術情報にアクセスできず、安全性の確認ができない

  • PAFIでは、材料適合性、有害性、エンジン試験、運用上の問題などを含む包括的な評価が行われるため、安全性が高いと判断している。

■ GAMIのG100UL燃料について

  • GAMIはPAFIには参加せず、STCでG100ULを承認取得。

  • LycomingはG100ULの技術情報を持たず、安全性に関する判断ができない

  • GAMIはLycomingに対し、評価結果の公表を制限する条件で情報提供を求めており、Lycomingはこれを拒否。

  • LycomingはG100ULをSI1070に掲載しておらず、使用は非推奨。使用すると保証対象外となる可能性がある

■ 承認済み燃料

  • Lycomingが承認した燃料は、Service Instruction 1070に記載されている。

  • 新しい燃料が承認されるには、厳格な試験とFAAへの認証データ提出が必要。

■ まとめ

Lycomingは透明性・協業・安全性を重視し、PAFIを通じた無鉛燃料の採用を推進している。今後もエンジンの安全性を確保しながら、無鉛化に取り組んでいく姿勢を示している。


 


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